会計士を目指して、勉強していた時期があります。ブログ名の由来の回に、一行だけ書きました。
会計士を目指して勉強していた時期もありましたが、状態が悪化して、それどころではなくなりました。
その勉強は、いまの仕事には役に立っていません。ところが、いまの会社が私を雇った理由は、その勉強でした。今日は、この話を書きます。
いまの仕事には、使っていません
いまの私は、フィールドエンジニアや営業の仕事をしています。ITの勉強をどう続けたかは、独学の回に書きました。
会計士の勉強そのものは、この仕事の役には立っていません。
入社してから、聞きました
入社してから、聞いた話があります。会社が私を雇った理由です。
会計士を目指していたのだから、地頭はいい。そういうことでした。
実際に、仕事は早いらしいです。
問題の所在——その勉強は、役に立ったのか
勉強した中身は、いまの仕事で使っていません。ここだけ見れば、「役に立たなかった」ことになります。
雇われた理由は、その勉強でした。ここだけ見れば、「役に立った」ことになります。
同じ勉強です。どちらが本当なのでしょうか。
二〇二五年の記事に、書いていました
二〇二五年に、「やっても意味なかったかも」と思ったあなたへという記事を書きました。そこに、こうあります。
仏教の教えでは、すべての行動は消えることなく蓄積されていくと説かれています。この考え方を「業力不滅(ごうりきふめつ)」といいます。
今日の話は、その実例です。自分の身に起きたほうの。
業不亡(ごうふもう)——残るのは、行いのほうです
ここで言葉を一つ。業不亡(ごうふもう)です。噛み砕くと、やった行いは、時間がたっても消えない、ということ。二〇二五年の記事で業力不滅と書いたことを、経典の言葉ではこう言います。辞典には、もとの言葉も載せました。
仮使百千劫を経るとも、所作の業は亡びず。因縁 会遇の時、果報 還って自ら受く
『大宝積経(だいほうしゃくきょう)』などに出てくる言葉です。どれほど長い時間がたっても、やった行いは消えない。因と縁が出会ったとき、その果は自分に返ってくる。善い行いにも、そうでない行いにも、同じように当てはまります。
ここでいう「業」は、行いのことです。知識のことではありません。
私の場合に当てはめます。会社が理由に挙げたのは、会計の知識ではありませんでした。会計士を目指して勉強していた、という行いのほうです。
覚えた中身は、使わなければ薄れていきます。けれど、「あの時期、それをやっていた」という事実は、薄れようがありません。残っていたのは、そちらでした。
果y=因a×縁xで読むと
果y=因a×縁x
会計士を目指して勉強したこと。これが因aです。
その種をまいたとき、私の目当ては会計士でした。その道は、途中で止まりました。
ところが同じ種が、あとになって、別の縁xと出会いました。いまの会社です。
因aは同じです。出会った縁xが違いました。それで、まいたときの目当てとは別の形の果になりました。
経文の「因縁 会遇の時」は、ここを言っているのだと思います。種は、まいたときの目当ての場所で実るとは限りません。縁と出会った場所で、実ります。
「役に立った」「立たなかった」が食い違うのは、そのためです。勉強の中身を見れば、役に立っていない。勉強したという行いを見れば、役に立っている。数えている場所が違うだけで、どちらも本当です。
もう一度、勉強しようとしています
この話には、続きがあります。その勉強を、もう一度しようとしています。副業で使うからです。
行いが種として蓄えられる心の蔵を、仏教では阿頼耶識(あらやしき)と呼びます。阿頼耶識の回に、こう書きました。
次に再開するとき、あなたはゼロからではなく、在庫のあるところから始めている。
本当にそうなのか。これは、まだ分かりません。これから、自分で確かめることになります。
まとめ——歯止めを三つ
ひとつ。「努力は必ず報われる」という話ではありません。業不亡が言っているのは、行いは消えない、縁と出会えば果になる、というところまでです。いつ、どこで、どんな形で出てくるかは、こちらでは決められません。二〇二五年の記事には「挑戦したことには必ず意味があります」と書きました。いま書くなら、「必ず」は外します。
ふたつ。うまくいかなかった人に「いつか役に立つよ」と言うための言葉でもありません。私自身、状態が悪かったころは、それどころではありませんでした。この物差しは、あとになって、自分の来た道に当てるものです。
みっつ。「地頭がいい」は、会社の見立てです。私が自分で名乗る話ではありません。同じ勉強を見て、そう受け取る会社もあれば、受け取らない会社もあるはずです。それが縁xです。
判定は、こうしておきます。「役に立たなかった」と言うとき、どこで数えていますか。
今日も良い種をまいていきましょう。

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